Profile
近藤 乃梨子 | アート・コミュニケーター
2004年女子美術大学芸術学科卒業。編集プロダクション、美術館勤務を経て、2015年よりNPO法人芸術資源開発機構にてアーツ×ダイアローグ事業に携わり、市民ボランティアと協働し、学校での美術鑑賞授業や高齢者施設へのアウトリーチ活動をはじめとしたプロジェクト運営を担う。自らも鑑賞ファシリテーターとして活動しながら、アートの作用で人々の毎日が彩り豊かになるよう、探求を続けている。
アートとコミュニケーションを軸とした大人向けのワークショップ「ヨリミチミュージアム」主宰。コロナ禍をきっかけにアートの地産地消をコンセプトにした「ご近所アートコレクティブ TAMA VOICES」結成。
とびらプロジェクト とびラー2期生(2013.4~2016.3)
一般社団法人アプリシエイトアプローチ 代表理事(2018.2〜)
ご近所アートコレクティブ TAMA VOICES(2020.10〜)

2011年、地震の影響で勤務中だった美術館が休館していた時期、様々なことを思い巡らし、考えるために立ち止まる時間を過ごしました。当時を振り返ってみると、原発のこと、これからの生活と仕事のこと、答えのない問いに向き合うことができたのは、考え続けることが私自身にとって当たり前のことになっていたからだと思います。それはアートを前にして「これは一体、何?」と見続けることによって鍛えられた力でした。
アートに触れると気晴らしになったり、純粋に楽しかったり、感動することもありますが、私にとってのアートの一番の「作用」は、作品を前にして頭と心をつかい、目の前でおきていることを咀嚼し、そんな自分のことを信頼できるようになったことじゃないかな、と思います。
そういったことを改めて認識するきっかけとなったのが、東日本大震災でした。
もちろん、アートが喜びとなり、癒されることもありますが、時には大胆に、時には繊細に、人々に思考させ想像させるそのはたらきは、これからの社会にとってなくてはならないことだと考えます。
私的な親しみも社会的な役割もどちらも大切なものであり、アートがそこにあることで、誰もが安心して気持ち良く暮らせる日々、そして豊かな社会が実現するのではないか、と。
美術館に行ってみる、何か表現をしてみる、誰かと対話してみる…
一歩を踏み出すお手伝いをすることで、見てみたい景色に近づいていきたいと思います。